オッサンがバイクに乗って降りるまでに感じたこと
何故か30も間近になってバイクに乗ろうと思ったのが3年前。
そして今日、乗っていたバイクを売った。
あまり距離を乗ってなかったからかもしれないが、事故どころか立ちゴケすら経験しない平穏なバイク人生をとりあえず終えた。
楽しい乗り物ではあるが、私には合わないな……というのが完走した感想になる。
つらつらと書いていきたい。
○なんで乗ろうと?
退屈だったからかな?有り難いことに平穏な生活を営んでいて、しかし就職以後に一般的に生活のステージを変遷させる結婚やら子育てやらに今のところ全く縁がないということで、何か新しいことをしたいという焦りがあったのかもしれない。実利的な面では車通勤のコストを押さえることができないかという目的もあった。
○何に乗ってたの?選んだ理由は?
CB250Rに乗っていた。
選んだ理由としては、取得したのが普通二輪免許だったので400未満。かつ新車で販売されているもの、いい中古車を見分ける能力がないから。できれば丸目。スポーツ系よりクラシックな見た目の方が好み。運転に自信がないのでABS付き。……ということで、CB250RとVスト250のどっちかがいいなとなって、近場にディーラーのあったホンダのCB250Rを選ぶことになった。
純粋に見た目だけならSR400がドストライクだったので買いたかったがキックスタートというのがどうにもビビりの自分には気が引けた。想像してみて欲しい、交差点でエンストして後続車にプップー鳴らされまくって半泣きでキックする己の姿を。まあスタートに失敗してエンストなんてまずないと乗り始めたら気付くのだが、免許取得時はやはり恐怖だった。今の中古価格を見てSRにしとけばよかったのにーってスケベ心は正直ある。
○思ったのと違う
気楽な足としてあちこちに行くぞ~~!と意気込んで始めてみたはいいものの、思ってたのと違うな……って面が見えてくる。まずそもそも全然気楽な足ではなかった。先に車を日常的に使っていたからかもしれないが、車のが自由で気楽だというのが正直なところ。
まず、バイクは駐車場に困る。これが乗り始めて最も感じた意外感だった。本当にないよ、バイク駐車場。乗らないとわかんないんだけど。バイクも駐禁切るならバイク駐車場はきちんと整備してほしい。生き残るバイク乗りって、他のバイクが止めてあるから自分も止めてやれーとか、店先の歩道だけど食う間ならいいよね?って図々しく駐車できるタイプが多いと思うんだけど自分はそういう文化にあまり馴染めなかった。どちらかというと観光地で特に許可されてない場所に、みんなで止めれば…式に止められているバイクを見て苦々しく思うタイプなのだった。
そういう気質なので、どうにもCB250Rをゲーセンの軒先に自転車と並べて突っ込んでおくみたいな気にはなれず、日常において足になりうるのは適当に止めてもあんま怒られなさそうな125スクーターやカブまでだな……という気分になった。
あとヘルメットの脱着と保管。いやマジでめんどくさいよ。運転してる間はヘルメットを被る!これだけならいいんだけど、じゃあ運転してない間はヘルメットどっかに置いとかないとねーってのとワンセットなのが辛いのだ。仮に車で運転中にメット着用の義務があったとして、降りるときは車内に放っておけばいいだろうが、バイクだとどうだ?別にほっといても取られやしねーよ!精神の持ち主ならハンドルに引っかけるだけでいいだろうが、まあここまで読んでくだされば分かるように、私は心配性なのだ、取られやしないかと。じゃあメットロック必要っすね。どうも必須っぽいリアキャリアと一緒に付けとくか。あと箱もな!うーんついでにドラレコも付けるか!おいおい車より余計なもの買わなきゃ機能性ないんじゃん。うーん気楽か?
あとどうもシャツで乗る気にはならん。下半身は妥協するとしても胸部プロテクター入りのジャケットは必ず羽織るぞ!手袋もするぞ!寒くなってきたら下半身も専用のやつ履くぞ!小便さえしにくいやつ!うーんこれら全部バイクから降りてる時邪魔なんだよなあ……。走るのは楽しいが、走って降りた先であまり行動したくなくなる……。
まあこれらの問題って違法駐車上等!・半ヘル・普段着で乗ったる!って人なら全く感じないんですよね。
バイクは自由だ!ただし命知らずに限る。
○じゃあつまんなかったのか?
いやめちゃ楽しかったよ。車だったらなにも感じないような国道を流しているだけでもワクワク感がある。路面の排水縦溝がこんな恐怖だなんて知らなかったよ。ヘトヘトになりながらたどり着いた道の駅に対する感謝ったらないよ。60kmで走るだけでカナブンが弾丸になるとは思わなかったよ。夏は暑くて冬は寒いんだよ。水際を走ると空気が違うんだよ。霧の中を走ると身体が濡れるんだよ。走ると風に打たれるんだよ。わざわざエンジンに跨がって身をさらけ出して乗る非合理性からこそ得られる楽しさがあるのだった。
中でも特に山間部の長距離トンネルから出ると平衡感覚が失われるのは発見だった。入るまではいいが出た後が怖い。大抵、上り坂→トンネル→下り坂という感じになるのだが(たぶん山の上のほうで掘ったほうが掘削距離が短いみたいな理由でどの道路もそうなるのだろうか?)出た直後の下り坂がどうしようもなく怖い。タイヤがきちんと地面を捉えていない感覚に襲われるのだ。なぜこんなことになるのか考えて、あるトンネルで閃いた。その数キロにわたるトンネルはどこまでもまっすぐで、なのに出口の光が全く見えない。直線なら数キロぐらいなら光が見えるはずだろ!いや直線じゃないんじゃないか?横ではなく縦に。そう、トンネル内でもアップダウンはあるんだ!なのに景色でそれを感じられないから平衡感覚がおかしくなるんじゃないか!?天啓かな。これで納得いたし申した。なお真実かは知らないし、恐怖の解決にはならない模様。
非日常。命が保証されないという非日常。リスクがあるからこそ楽しい。それを身をもって体験した。でもやはり俺は命知らずにはなれないわ。
外界により多く物事を左右されるというのが車と比較したバイクの楽しさの源泉であると思うが、じゃあ通勤手段としてどうだったかというとやはり辛かった。ツーリングという非日常で天候に物事を左右されるのは快感になり得るが、通勤という日常で天候に左右されうるものがあるというのは不快でしかない。いちいち明日は雨だからカッパを羽織らなきゃナ……なんてことに精神を使いたくないのだった。
○CB250Rはどうだった
比較対象が教習所のスーフォアしかないのであれだがいいバイクだったと思うよ。バイクに乗ると予想以上に引き歩きを強いられる場面があるがそこで軽さが活きる。コーナーで軽い。ブレーキがよく効く。上がり坂のカーブとかでない限り充分なパワー。でも人気ないよね。立ち位置が半端なのか……。
○まとめ
実用なら原二まで。それ以上は命を賭けた趣味。リスクに身をさらして感じることがある。でもやっぱほどほど楽しんだしいいや……。楽観主義者なら最高に楽しめる乗り物なのだろう。一回もエンジンかからないとかなんかおかしいとかならなかったからホンダは信じていいんじゃない?って感じかな。以上!